天声人語の書き出し・結語【名文集】森づくり
水曜日, 12 月 17th, 2008天声人語の書き出し・結語【名文集】
『森づくり』
芝生というのは、百パーセント芝生にみえてもカタバミ、ネジバナなどの他の草が二割はまじっているそうだ。ある婦人がそれをきれいに抜き取って「純粋の芝生」にしようとした。
だが、作業を終えたら、芝生はたちまち虫害で全滅してしまった。生態系とはそういうものだ、まじりものがあってこそ安定するのだ、という話を横浜国大の宮脇昭教授にきいた。なるほどこれは草木だけの話ではないな、と思いながら聞いた。
工場や住宅街の森は、空気を浄化し、音を防ぎ、鳥や虫を呼ぶだけではなく、公害の監視者でもある。ふるさとの森が枯れるとき、それは人間の生存に対する重大な警告になる、と宮脇さんはいう。
今日は秋分の日。カヤツリグサやエノコログサが風にゆれながら「小さな秋」をたのしんでいる。