天声人語の書き出し・結語【名文集】追憶の月

天声人語の書き出し・結語【名文集】

『追憶の月』

きょうから八月が始まる。真夏の昼の光がアスファルトの道路を灼(や)き、道ばたのサルスベリの花を灼き、ムクゲの花を灼いている。こんがりとこげたように変色した泰山木(たいさんぼく)の花びらが一枚、茂みに落ちている。

葉月、あるいは月見月。八月は水の季節である。南の島では、サンゴ礁岩に沿って泳ぐコバルトスズメの群れが鮮烈な青をちりばめていることだろう。銀河、線香花火、盆踊り、露天、ラムネ、スイカ、朝顔、キャンプ、水遊び、波乗り、絵日記、大文字焼き、お化け大会。八月は子供たちにとって中身の濃い月だ。

「原爆で盲(めし)いとなりて生くる老いなぜ分裂するかと涙ながせり」(山崎久恵)という歌もあった。この被爆者の嘆きを受けとめるように、今年の原水爆禁止世界大会では大同団結が進んだ。原水禁運動を「八月の行事」に終わらせてはならない。

水子供養
人形供養
サーマクール

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