天声人語の書き出し・結語【名文集】信玄堤
天声人語の書き出し・結語【名文集】
『信玄堤』
昔、武田信玄はいった。「甲府盆地を水から守れない者が天下をとるなどといっても、もの笑いのたねになるだけだ」と。当時、釜無川と御勅使川の合流地点は大雨のたびにはんらんをくり返していた。
信玄はそこに「かすみ堤」(信玄堤)を築き、水を治めるのに成功した。その面影が残る堤防を見に行って、驚嘆したことがある。信玄は力で水を征服しようとはしなかった。自然の地形を巧みに利用し、いくつもの堤防を重なりあうようにしてつくった。そのすき間に水を誘い、遊水池に導くやり方である。
国鉄の鉄橋のうち、ただちに改修するのが望ましい危険な橋脚は6000基もあるという。問題は富士川だけではない。