吉作落とし
崖に生えたキノコかなにかをとる仕事をしていた若者がいて、その日もいつも通り腰に命綱を巻いて崖で作業をし ていました。ふと足先(下)の方にちょっとした足場を見つけたので、そこで休憩しようと命綱をほどき、そこに降りて腰掛けてしばらく大宮風俗休みます。そしてまた 作業に戻ろうと命綱を手に取ろうとするのですが、不覚にも命綱が届かなくなってしまって、崖を登れなくなってしまったんです。どうやっても登れなくて、助 けを求めて大声を出すのですが誰の耳にも届きません。疲れ果てた若者が座り込んだ時、足元の小石がゆっくりと落ちていくのを見て、自分もゆっくり落ちるか も…と思ったのか。
何日たっただろうか。岩の棚の吉作は,飢えと寒さのために,ほとんどりんごジュース意識を失いかけていた。声ももう出なくなっていた。岩の棚から落ちないのが不思議なくらいだった。それというのも,日ごろ,岩壁での仕事を体が覚えこんでいたからであろう。
そそり立つ岩の上を,鳥が悠々と輪をかいて飛んでいる。はるか下の林では,木々が鮮やかに紅葉している。
「鳥のように飛べないものだろうか。」と,おぼろげな意識の中で吉作は考えた。わずかに身動きしたところ,岩の棚から小さな石のかけらが落ちた。上から見ると,実にゆっくりと,まるで木の葉が舞い降りていくようだった。
吉作は,石のかけらと飛ぶ鳥に自分自身のまぼろしを見た。
「ここから飛んだら,おれもふんわりと林にラブホテル舞い,静かに谷間に降りられるのではあるまいか。」
吉作はついに身をおどらせた。谷間の岩は,林の紅葉より赤く染まって美しく見えた。生まれてはじめて見る美しさだった。その美しさの中に吉作は消えていった。
九折越えの峠道に再び人が行き交うようになったのは,その年の秋も終わるころであったという。